ビザの延長のために帰国した当時、工事現場のいわゆる土方のバイトは、8千円くらいだったけれど、バイト代も1.2万円ととても良いバイトを見つけた。主に昼間ではなく、夜から朝に掛けての仕事である。西早稲田にあった私がバイトをした会社(三協電気工業株式会社)の現場事務所は、デパートの地下の電気設備の傍らにあった。デパートの電気設備全般の管理をしているのだけれど、バイトの主な仕事は、夕食を終えると其処に集合し、デパートが閉店するのを待つ。閉店すると仕事開始である。主な仕事は、デパートの催し会場の解体と新しい催し会場の設営である。夜のデパートの中を歩くとマネキンの姿がとても不気味であった。真っ暗なデパートの中で催し会場だけがすごい熱気で包まれている。朝10時の開店までに全ての仕事を終えなければならない。夜のデパートがこんなにも忙しいものだとは知らなかった。
最初は、先輩の仕事の補助をしていたけれど、電気工事士の免許があれば、自分でもできるし、バイト代も大きくあがるので、電気工事士の免許を取得することにした。
電気工事士の本を買ってきて、独学で勉強し道具も揃えた、実技試験があるからである。
電気工事士の試験会場に行くと、ほとんどが工業高校の学生達であった。電気関連の仕事をしているおじさんが混じっていた。私もその1人であった。試験は、筆記と実技があり、実技は配線図を見て規定どうりに美しく試験台に配線を時間内に完成しなければならず、私は、物を作るのが好きで、手先は器用な方であったので、無事一度で合格した。
(1987.1.28.取得)
その後は、催事場の照明の設営を任されるようになった。
催事場の設営が終ると、待っていた業者さんの商品の搬入が始まる。搬入が終りオープン前の最終点検が終ると仕事完了である。土方のおじさん達とは、業種が異なるだけで、基本的に同じに思えた。
資格を取ってからは、一晩徹夜で働くと2.3万円にもなった。韓国に戻る日が近づき惜しまれながら退職した。
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