のどかな、ある日(ひ)のことでした。 日(ひ)なたで、甲羅(こうら)干(ぼ)しをしながら、うとうとしている、カメのそばを、 友(とも)だちのウサギが通(とう)りかかりました。 「こんなに、いい天氣(てんき)だっていうのに、君(きみ)は、頭(あたま)も手足(てあし)もすっかり引(ひ)っ込(こ)めて、お昼寝(ひるね)かい」 「おはよう」と、カメは目(め)をさまして、甲羅(こうら)の中(なか)から言(い)いました。 「ぼく、甲羅(こうら)を干(ほ)して丈夫(じょうぶ)にしているところなんだ」 「甲羅(こうら)ならもう、すっかり丈夫(じょうぶ)だよ。さあ、起(お)きた、起(お)きた」 ウサギは、しっぽを引張(ひっぱ)ってカメが甲羅(こうら)から出(で)るのを手伝(てつだ)いました。 「さてと、カメ君(くん)。君(きみ)は、もっと野山(のやま)を駆(か)け巡(めぐ)って、足(あし)を鍛(きた)え..